I LOVE YOU
それから私は、学校帰りに青い傘を持ってあの日と同じ場所に通うのが日課になっていた。
また彼と出会えるかもしれない、という淡い期待をもって、自分がいられる時間まで待っていた。
その2週間後、久遠さんは現れた。
私はすぐに彼の後を追いかけて、すいません、と叫ぶ。
「この前傘を貸していただいて、ありがとうございます。あの、傘、返しに来ました」
一気に喋ると、彼は、あぁ、と思い出したあと
「わざわざ待ってたの?傘の1本くらいよかったのに…」
でも、ありがとう、とフワリと笑った。
ずっと待ってくれたお礼ということで、その日の夕飯をご馳走してもらった。
帰りの電車の切符を買って、久遠さんにさよならの挨拶をすると、迷惑でなければこれからも連絡を取りたい、とお願いされた。
人見知りな私でも不思議と嫌な気持ちにならず、二つ返事した。