I LOVE YOU


映画を見ている途中、私は久遠さんの手を握ってみた。


久遠さんは驚いてしばらくこっちを見ていたけど、すぐに顔をスクリーンに戻した。


その時、久遠さんの手が私の手を強く握り返してくれた。




映画も終わり久遠さんの駐車場まで向かっている途中、ケーキ屋さんによって小さなクリスマスケーキを買った。


それから一緒に久遠さんの家に戻って先程買ったクリスマスケーキをさらに小さく切って食べた。


「俺が後片付けしとくから、先に風呂入ってきな」


はい、タオル、とふわふわで大きなバスタオルを渡され、私は素直に浴室へ向かった。


シャワーを身体に受けているとき、ずっと見ていた夢を思い出していた。


久遠さんの他にも付き合っていた人は何人かいた。しかし、全員が夢に現れた男ではなかった。


それで別れたりはしなかったが、物足りない感じがして終わることがしょっちゅうだったのだ。




< 14 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop