I LOVE YOU


あの日から奈々は自分の部屋で寝ている。俺も1人で眠る生活に戻っていた。




でもその日はいつもと違っていた。


いつも通りの時間に帰ってドアを開けると、中は真っ暗だった。俺は不思議に思いながら奈々を呼ぶけど、声が帰ってくることはなかった。


とりあえず電気を点けてリビングを見渡すが奈々の姿はなく、出掛けているかもしれないと思って寝室のドアを開けると何かにぶつかった。


見るとそれは奈々で、俺は彼女の名前を呼んだ。体育座りをして小さくなった彼女は、鼻を真っ赤にして、涙を目一杯に溜めた顔で振り返った。


俺はもう一度、奈々、と呼ぶ。その瞬間、溜まっていた涙は目から溢れ出て、うわーん、と子供みたいに声を出して俺にしがみついてきた。


俺はただ黙って奈々を宥めることしかできなかった。奈々は泣き止まず、俺の服を掴んだ手は微かに震えていた。


その夜は久しぶりに2人で一緒に眠った。けど、夜中に奈々の呻き声が聞こえて奈々を見れば、額にうっすら汗をかいて、苦しそうにもがいていた。俺は一回奈々を起こし、また落ち着けるために奈々を抱きしめ、頭を撫でてやる。


結局、奈々を心配した俺は、奈々を自分の布団へ入らせて一緒に眠った。奈々の体はまだ震えていて、手足も冷えきっていた。俺は布団で温まった体で彼女を抱き寄せ、冷えた手足を温めてやった。





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