I LOVE YOU
ある休日の朝だった。奈々は朝食で使った食器を洗っていて、俺はテレビを見ていた。見ていた番組がコマーシャルに入ったところで、飲んでいた麦茶を切らしていることに気づいた俺は、奈々のいる台所へと向かった。
俺は洗い場の隣にあるちょっと空いたスペースにコップを置き、冷蔵庫へ向き直ろうとしたとき、俺の視線は奈々の腕に集中し、思わずその腕を掴んでしまった。
奈々の腕には痣があった。それは腕の中に何個も見受けられて、俺は石みたいに動くことも出来ずにいた。
「!?」
驚いた奈々はすぐに俺の腕を振り払って、捲っていた袖を元に戻した。
「…何だよそれ」
「何でもない…」
奈々は俺と目を合わせようとしない。俺は嫌な予感がした。でも、それだけは否定したかったが、奈々の言葉で俺の予感は確信に変わった。
「何でもないはずないだろ」
「本当に違うのよ…。ただ…」
「ただ?ただ何だよ。お前それがただの怪我でなったと思ってんのか?どんな怪我したらそんなに痣ができるんだよ」
俺はイライラして、つい、強く言ってしまった。奈々は下を向いたままで、俺はそれを見て反省した。
「ごめん、奈々…」
今度は謝罪の気持ちを込めて、俺は奈々の腕に手を伸ばした。
「やめてっ!!」
伸ばした手は奈々におもいっきり拒否され、空を掴んだ。俺は驚いて奈々見る。奈々も自分のしたことに今気づいたみたいで、ハッとして俺の顔を見た。