I LOVE YOU
俺自身、支離滅裂なことを言ってる自分に可笑しくなってくる。当然奈々からも「何よ急に…」と笑われるが、「早く来い」と今度は命令口調で言って強制的に電話を切った。
数分後、奈々がやって来た。俺は振り向いて、よっ、と片手を挙げたが奈々は返事を返すことなく、真顔のまま近づいてきて俺の頭を小突いた。
「何すんだよ」
「人の電話を勝手に取るなんてサイテー!!」
言われた瞬間、つい最近自分がしたことを思い出して「ごめん…」と謝った。
「本当にもう…、やるならもっと上手くやりなさいよね!!」
いやいや、もっと他に突っ込むとこがあるだろと思ったが、今の状態では火に油を注ぐのと同じなので俺は心の中で呟くことにした。
「彼に会ったのね…」
気づいたら奈々は俺の隣に座っていた。俺は彼女の言葉にただ頷いた。
「彼に何か言われた…?」
俺は一瞬言おうか言わないか迷ったが結局言わないことにして、「特に何も…」と答えた。
「ふ~ん…」
「な、何だよ…」
「本当のこと言いなさいよ」
奈々は昔から勘が鋭かった。その勘が外れたことはたぶん無いだろう。そして今回、その勘が役に立ったのだ。