I LOVE YOU


「…少し、お前のこと言われて…、頭にきたから水掛けた…」


「ブフッ」


奈々を見るとクックッと苦しそうに笑って体を揺らしていた。


「あの人に水?」


今度は声を出して笑い始めた。俺は何がそんなに可笑しいのか理解できなくて奈々を見ていると、ようやく笑い終わった奈々が「ごめん、ごめん」と涙を服の袖で拭いながら言った。


「あの人が水を掛けられるなんて想像したことなかったから、可笑しくて…」


奈々の体はまだ微かに震えている。


「そろそろ本題に入りたいんだけど、いい?」


話が中々進まないことにイライラしはじめた俺は若干怒りを含ませながら問いかける。


「わかったわかった、」


「あっそ、んじゃ話すよ…」


俺は全部話した。佐野さんがかなり年上の人で驚いたこと、別れてほしいと頼んだこと、自分の行動に何も不思議に思っていなかったことなど、頭に残っている記憶全てを話した。奈々は終始黙って聞いていた。たまに「うん、うん」と頷いては俺の話に耳を傾けていた。


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