I LOVE YOU


「そっか…」


話終えて最後に奈々が言った。


「ありがとう。……何かごめんね、薫まで巻き込んじゃって… 」


「別に謝ることないよ、俺が勝手にしたことなんだから…」


それからしばらく沈黙が出来た。視界が眩しくなって顔を上げると、最後の瞬間を目に焼きつけようと存分に光を放つ太陽があった。俺はそれを見ながら「なぁ…」と奈々に話しかけた。


奈々を見れば奈々も「うん?」とこっちを振り返った。


「奈々はこれからどうするんだ…?」


「…そうだな、とりあえず住む場所決めなきゃ…。仕事も探さなきゃだし…」


「…もう大丈夫なのか?」


俺の問いに奈々は唸りながら首を捻った。


「わからない…、でもずっとこのままって訳にもいかないし…。薫の家にもずっと居座り続ける訳にもいかないでしょ、」


「そろそろ立ち直らなきゃ…」と言って奈々は口を閉ざした。


「このまま居てもいいんだぞ…」


奈々は静かに振り返った後、俺を見て小さく笑った。


「心配しなくても大丈夫」


その言葉を聞いて、俺はそれから何も言えなかった。


結局俺達は、そのまま夕日が沈むまで見届けてから公園を出て家に戻った。玄関の鍵を開けて扉を開くと、初めてそれが重く感じられた。奈々を先に入れてから俺も重くなった足をゆっくり動かして中に入っていった。



< 62 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop