I LOVE YOU
奈々を見ると、彼女の目が大きく開かれている。そして、だんだんその瞳が潤んでくる。
「でも…、」
「俺が全力で守るから!!」
言いかけた言葉をふさいで、俺は言う。
「奈々…、俺じゃダメか?俺じゃお前の力になれないのか?」
奈々は俯きながら首を降った。
「違う…、他の男なんて嫌だ。私は薫がいい…、薫じゃなきゃ嫌…!!」
そう言って顔を上げた奈々の目からは涙がぼろぼろと溢れ落ちている。
「…でも、私、こんなだし…。薫だって、こんな傷だらけの女、嫌でしょ…?」
奈々の涙は止まらない。もう、彼女の目は真っ赤になっていた。
今の奈々を俺は知らない。奈々はいつでも強くて、大きかった…。
なのに目の前にいる奈々は、凄く小さかった。大事に扱わなきゃ、脆く崩れていきそうだ。
俺は掴んでいた肩を抱き寄せる。
「奈々は綺麗だよ…、今は傷だらけでも、いつか元通りになって、綺麗な奈々に戻るんだ…」
俺は奈々の頭を撫でる。奈々は俺の服に顔を埋めた。胸の辺りがだんだん冷たくなっていく。
「ずっと一緒にいよう…それで、幸せになろう…」
奈々にそう囁けば、奈々は強く、何回も頷いた。