強く生きろと、君は言った
死の始まりは
―死の始まりは―


「待てぇえいっ!」

 背後から叫ばれて


 身軽に街灯の上をホバリングしていたロボットは止まった。

 
 男は威嚇するように拳を突き上げ


 ロボットの女(型)を睨みすえた。


「なめとんのかゴラァ!」


 女型ロボットは首だけ背後に巡らせると


 一言、冷たい声で、


「なんだ……別に舐めているわけじゃない」


「オレさまの領域中でホバリングするたあ
ふてえな! 通行料を払えば、見逃してやるが」


「舐めて欲しかったのか……」


 彼女の背後で満月が


 はためく雲に覆われた。


 雲が晴れた瞬間、男は一声もあげずに絶命していた。


 もう、二度と立ち上がらない。


 彼はホバリングシューズを履いたまま、


 空中で屍を晒していた。





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