強く生きろと、君は言った
 詩絵理は無表情な仮面を外し、銀の瞳をメカニカルな光の渦にきらめかせた。


「今回はそれを救うのが私の使命か。やれやれ。そもそもが音楽機能用のアンドロイドに、よくもそんな難事を押しつけてくれるものだ」


 まるで男の言うような台詞にも、フォリオ・テイラーは動じない。


 なぜなら彼女が詩絵理を起動させ、使役するマスターであるからだ。


 そう、プログラムした張本人も彼女なのである。


「次元空間を移動して歴史を救うことができるのは、いまはおまえしかいないのよ」


 詩絵理は、そこだけに関しては、あえて反論するプログラムがなされていない。


「おおせのままに。わが姫君……いや、すべての女王であらせられるところのわが主よ」



< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop