強く生きろと、君は言った
 精霊小人がせわしなくせきたてた。


「行ケ! 次元ノ扉ガ閉マル前ニ、ダ」


「おやおや。女王との再会の抱擁もまだだというのに、せかしてくれる。ひょっとしてこの私にやきもちか、ゼル」


「オマエゴトキニ、ソンナ台詞ヲ吐カレテハ『カタワライタシ』トイウモノダ。女王ノ命令ハ迅速ニ遂行シ、経緯ハ省イテ報告セヨ」


 アンドロイドに敬意を示す精霊など、まずいないと言っていい。


 白銀がかった翠の髪の精霊が、細かいことをいちいち言いつけた。


 生年百年足らずの若輩精霊が詩絵理に対して大きくでるのはこれが最初ではない。


 ゼルと呼ばれた彼は、詩絵理に向かって最後にこう言った。


「れのく、オマエハイツモ、一言多イ」


「その名では呼ぶな」


 彼女は次元空間のコスモドアをくぐり、光と化した。







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