強く生きろと、君は言った

ピュア

 お祈りの時間、わたしはトムに背中をつつかれて眼を覚ました。


「めずらしいじゃない、こんなとこで会うなんて。久しぶり、トム」


 トムは黙って笑ってたけど、実は思いっきりにらまれてたの。


 周囲の大人はするべきことをまちかえてるわ。


 どうして子供がこんなに大勢のいるところで騒がずにいられる?


 はっきり言って、おしこめられてるだけわたしには大迷惑。


 だいきらい、神様なんて。


 イイコにしてないといけないなんて、まるでしめ殺しにされる気分よ。


 天使なんかいない。


 知ってるもの、わたし。


 じゃあ、なにに祈るのかって?


 わたしが今まで付き合ってた中で一番、信用できる人よ。


 おばさんだったり、パパや、ママだったり、働いてる近くのひとだったり、いろいろ。


『シェリー』


 トムが小声で手招くので、わたしたちはこっそりと聖堂室をぬけだした。
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