【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
ヤスはその全てを見透かしていたかのように、一切口出しをしてくることはなかった。



「アスカの働きは予想以上だったけど、俺はアスカを芸能界に引っ張りたいわけじゃないから。」



なんて、上品にエビチリを平らげながら、ヤスは私に呟いた。



今日は夜から早朝にかけて音楽番組の撮影みたい。



うちの両親達とすっかり仲良くなりやがったヤスは、二人と談笑すると、さっさと準備を整えて出て行ってしまった。



「不思議な子だよ、ヤス君は。」



夕飯の食卓には私と両親。



お父さんがヤスがいなくなった後ぽつりとそう言った。
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