【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
ビルの大画面にはきららの黒の盤のPVが流れている。
ジャケットを投げるあの男は本当に私なのだろうか。
いや、確実に私なんだけど。だけど、変わらなすぎる生活に、あの日が嘘だったんじゃないかと思える。夢だったんじゃないかと。
「飛鳥ってさ、あのプロモの子に少し似てる気がする。まあ、あの子は男の子なんだろうけど。」
「…そう、かな?」
結構的確なことを言う香織にドキッとしつつ、私は相槌を打つ。
『巻田アスナ』は世間では男であるという説の方が広く渡っているため、私が疑われることはなかった。
ジャケットを投げるあの男は本当に私なのだろうか。
いや、確実に私なんだけど。だけど、変わらなすぎる生活に、あの日が嘘だったんじゃないかと思える。夢だったんじゃないかと。
「飛鳥ってさ、あのプロモの子に少し似てる気がする。まあ、あの子は男の子なんだろうけど。」
「…そう、かな?」
結構的確なことを言う香織にドキッとしつつ、私は相槌を打つ。
『巻田アスナ』は世間では男であるという説の方が広く渡っているため、私が疑われることはなかった。