【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
元々、ヤスは私が生きる世界とは別の生き物だ。



私はそう思い全てを遮断するために、瞼を閉じた。



……………のだが。



「オイ起きろ毒舌地味女。」



「っ………!」



全力の平手が額に下りてきて、その衝撃で目を開く。



「いつ帰って来やがった。というか勝手に部屋に入るな変態。」



「ちっ!可愛くない反応。」



そこには暫くぶりのヤス。疲労からか、目の下が黒い。つまり隈が酷い。



「寝れば?天下の月野森きららが目の下真っ黒とかウケる。」



「気遣うなら可愛く言え。」



ヤスは私の言葉に相変わらずふてぶてしく、濁った黒目でこちらを窺いながら私のベッドに座った。
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