【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「今、ヤラシイこと考えた?アスカの変態。」



「はぁ…!?変態はどっちだ。この万年発情期が。」



ニヤリ、と口角を吊り上げるヤスに、こちらも嫌な意味で口角が吊り上がる。



「まあ、期待してることはしてあげるよ、後ほど、たっぷり。」



濁った漆黒の瞳は、陶器ののうに怪しく光ると濁りを増す。



「…っ!お断りだ。」



私の答えに、予想通りだと言わんばかりに満足そうに目を細めたヤスは、華やかな通りに目もくれず突き進んだ。



私は男にしては小柄だが、異様に長いその足の悪魔の後ろを、小走りで進んだ。
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