【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
扉の奥はうちの兄貴の部屋同様、デザイン画が散らばっていた。



「次はオリーブ色を取り入れたいんだけどなあ…んんーっ!ヤスの肌の色に合わない気もするしぃ。」


何やらその奥で、布団のような部屋着に包まった物体がぶつぶつと独り言を行っている。



「おい、俺が来たのに出迎えも無しかジジイ上着。」



その物体……おそらく兄貴の背中を、ヤスは容赦なく蹴る。



我が兄貴ながら、不憫なその醜態に少し笑いが込み上げる。



「イデー!ってヤス!ってか、飛鳥も一緒?何ぃ?デートなん?」



ウザい。この鼻の下が伸びきった男に、鳥のフンが落ちればいいと思う。全力で。
< 119 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop