【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
そして、兄貴はヤスに渡された目的地の記されたメモ帳を見て、私に目線を移す。



「飛鳥、なんて言われてここまで引っ張られたの?」



「PVのお礼。でも、私荷物持ちしかしてない。」



半日の仕打ちを皮肉たっぷりに兄貴に言うと、兄貴はにへら、と力無く笑った。



「これから、ヤスなりにお礼があるから大丈夫。…まあ、お礼だけじゃ済まないかも、だけど。」



言ってる意味が分からず首を捻ると、兄貴は自分の髪の毛をくしゃくしゃっと掻いた。
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