【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
その証拠に、クラスメイトの殆どが凍りついている。



「ミタカカオリ。後でアスカの荷物を届けてくれ。」



ヤスは自分の鞄だけ握ると、香織にそう告げる。



「うん分かった。」



こんな状況なのに香織は笑顔を崩さない。天然なんだか何なんだか。



強い力で掴まれた腕が軋む。



「うすのろ、早く来い。」



「……………っ!」



優しさの欠片もなく、乱暴に、だけど泣いてるみたいな声で、ヤスが私を引っ張った。
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