【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
この生活は決して楽しくなかったが、俺は幼い日に父が言ったあの言葉を思い出し、再び頑張った。



『お前は不幸であればいい。』



その言葉を言った父も、今や有名モデルと結婚し、二児の女の子の父親だ。



その幸せを崩してやりたい。俺が有名になればなるほど、苦しめばいい。



だから俺は歌う。憎しみの歌を、想いを込めて。



俺を瀕死に追いやった母も、俺が生きている姿を見て、恐怖で震え上がればいい。



俺を悪魔だと罵り、怯え、逃げ惑え。



そうしたら、迷うことなくこの手で殺してやるから。
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