【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
初めて公の前で歌ったあの日の震えは、今でも忘れられないし、あれ以上の衝撃は今後ないだろう。



ひらひら、ふわふわとレースや膨らんだスカートが揺れる俺は、男の声を出す俺。



大勢の人々がざわめいている。



知名度のないロリータの歌手。男なのかどうなのか、そんなところだろうか。



しかし、驚きはここじゃ終わらない。



何年もかけて手に入れた深く、低い声が、透き通るような高音の女の声に変わる。



日本語だった歌詞も、同じメロディーから英語に切り替わる。



英語は、母親が使っていたからか、昔から喋れるから、発音もネイティブなものだ。
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