【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「よく人の顔に良く見とれてる暇があるね。随分余裕なんだ。」



「別に、見とれてな……んっ!?」



不意打ちだった。気付いた時には木酪泰則の瞳の奥が見えない、濁った瞳が目の前にあった。



唇には、熱く湿ったものが宛がわれている。



それが『キス』だと気付くのに、そんなに時間はかからなかった。



暴れても暴れても、その細い身体の何処から湧くのか分からない力で捩伏せられる。



私の唇をこじ開けるように、もっと熱いものが侵入してくる。



ファーストキスなのに、いきなりディープなのとか、最悪だ。



いや、観点おかしいのかな。
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