【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「ダメ。逃がさないよ。」



「んわっ!」



だけど、悪魔は私を逃がしてくれない。



その繊細な指先が、痣が出来そうな程私の手首を強く掴むと、自分の方に引き寄せた。



私とヤスの身体は、足が浴槽を挟んではいるが、素肌が密着している状態。



好きを自覚した私は、前以上に心臓と、言葉に出来ないどこかが破裂しそうな程に痛い。



「は…離せ。」



「今更恥ずかしがらなくても。もうシた仲でしょ?」



そういう問題じゃないだろ。本当にデリカシーがない。
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