【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「さあ。よく分かんない。」



だから、答えは曖昧にした。



すると、ヤスからは不満があがるかと思いきや、意外な答えが返って来る。



「うん。俺も、よく分かんない。アスカをどう想ってるのか、分かんない。」



その声は穏やかで、だけど、やっぱり今までみたいに泣いてない。



そのことに安心していると、ヤスの綺麗な顔が至近距離にやって来る。



瞳は濁った漆黒。日本人とは違う、美術品みたいな顔立ち。



「だけど今、アスカを苦しめたり、おちょくったり、そんな理由じゃなくて、触れたい。」



そんな言い方されたら自惚れるよ、と心の中でヤスに答える前に、ヤスの小さな唇が私のそれに降り注いだ。」
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