【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「アスカ、あんたは俺にとって、小さな光、なのかな。」



触れる唇に火照る身体と思考。



好きに気付いただけで、ヤスに触れられるのが、こんなに愛しくて、こんなに切ない。



「だったら、俺だけに光ってて。お互いが傍にいなくても、光ってて。消えないで。」



その言葉は繊細で、だけど、とても頑丈な天蚕糸みたい。



ヤスの唇が、私の鎖骨の辺りを吸血するみたいに吸う。



痛みと共に、赤く浮かぶ跡。



「俺がいなくても、あんたが俺の中で、光ってる証拠。」



私を見上げて言ったヤスの漆黒は、更に甘く、だけど苦い世界へ、私を誘うんだ。
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