【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「今日はシないから、もっかい、唇、奪わせて。」



濁った漆黒は長い睫毛に隠されて、そして私に近づく。



ヤスがどういう気持ちで私にこんな風にするのか分からない。



だから切ないけど、だけど嬉しい気持ちが私の中を支配する。



ヤスが私を甘く苦く、それこそ砂糖をカラメルソースみたいにするように溶かす。



私がヤスにしようとしたことは、少しだけどヤスを変えられたのだろうか。



大嫌いだけど、大好きな歌姫。
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