【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「何だそれ……ありえない。糞ふざけんな!」



私以外誰もいない部屋に、私の叫び声がキン、と響く。



クラスで一番の優等生で、地味でダサい男木酪泰則は、世界で一番の歌手、月野森きらら。



望んでその秘密を共有したわけじゃない。



だけど、私はその秘密を共有したことにより墜ちていく。



暗黒の、だけど甘くて少し苦い、味わったこともない空間へ。



この時、私はそのことを予想することさえ出来なかった。
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