【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「ただいま。」
そんな私の思考が休まるのは、自宅ぐらいなものだ。
「あらあー飛鳥お帰り。ホント、毎日真面目に帰って来るわね。」
遅くない、いつもの時間にうちに帰ると、いつも聞こえる中年の女の声。
言うまでもなく、私の母の花巻和代だ。
お母さんはスーパーで鮮魚を扱うパートをしている。私を学校に通わせるためにだ。
「どう?学校は。」
「別にー。見ての通り、地味に生きてるよ。」
私の答えに満足そうに笑うお母さん。
兄が自分勝手にやりたいことをやってるから、私には少しいい生活をしてほしいんだと思う。
別に私はこの生活が嫌じゃないからいいんだけど。