【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!



「ただいま。」



そんな私の思考が休まるのは、自宅ぐらいなものだ。


「あらあー飛鳥お帰り。ホント、毎日真面目に帰って来るわね。」



遅くない、いつもの時間にうちに帰ると、いつも聞こえる中年の女の声。



言うまでもなく、私の母の花巻和代だ。



お母さんはスーパーで鮮魚を扱うパートをしている。私を学校に通わせるためにだ。



「どう?学校は。」



「別にー。見ての通り、地味に生きてるよ。」



私の答えに満足そうに笑うお母さん。



兄が自分勝手にやりたいことをやってるから、私には少しいい生活をしてほしいんだと思う。



別に私はこの生活が嫌じゃないからいいんだけど。
< 27 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop