【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「この指も、身体も、顔も、声も、その濁った漆黒も、私のそれと比べものにならないくらい、綺麗なものなんだよ。」



言葉の後はなんだか沈黙が続いて見つめ合う。



何秒間そうしていたか分からないけど、恥ずかしくなって私は後ずさる。



「………っとと!」



だけどなんて間が悪いのだろう。



少し濡れた地面に足を取られ、私は噴水側に滑ってしまう。



「馬鹿女!」



ヤスが慌てて私を自分の方に引っ張ってくれたけど、それは間に合うどころか…。
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