【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
なんか、今なら私の想い、サラっと伝えられそうな気がする。



「ねえヤス、私ね…。」



私が口を開くと、ヤスはその綺麗な指先を私の唇に押し当てる。



「しっ。俺が伝えるのが先。」



まるで私が何を言いたかったのか分かってる口ぶりのヤス。



その顔は、甘くて、直視出来やしない。



瞳は濁った漆黒なのに、カラメルソースみたい。



私はヤスに、ヤスの全てに支配されたみたいに、身体が、思考が止まる。
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