【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
木酪泰則は煙草を口に加え、兄貴の手からライターを奪うと火を燈す。



「ヤス、今21歳なの。マジで。」



「じゃあ、なんで私と同じクラスでクラスメイトしてんの?」



楽しそうな兄貴に眉毛を寄せて尋ねると、木酪泰則に煙草の煙を吹き掛けられる。



「ごっほ…!何、すんの!」



「ちょっと考えたら分かるでしょ。21歳って年齢が万が一バレても、まさか高校生してるとは思われないだろうし、身元が特定しにくいからだよ。」



それならそうと普通に言えよ。人の顔に煙たいモン吹き掛けやがって。



とは言えず、私は木酪泰則を出来る限り強く睨みつけた。
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