【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「私の部屋、ここだから。あんたの部屋は多分、そこの向かい。」



私は自室の前へ歩くと、さっさと部屋に引っ込もうとドアノブに触れる。



「うわ!」



だけど、私は襟首を強い力で引っ張られ、自分の部屋に入れずに後ろに倒れ込む。



後ろというと…そこはやっぱり木酪泰則に貸した部屋。



家具は買い揃えたのか、ベッドとクローゼットと机は真新しく、段ボールは少ない。



って、冷静に部屋の分析している場合じゃない。



「何、すんの!」



思わず声を荒げてしまうと、木酪泰則は喉を鳴らして笑った。
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