【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
私が黙ると、木酪泰則は満足そうに口角を上げる。



「聞き分けのいい子だね。じゃあもう一つ。俺に関わらないようにすると言ってたけど、それは無理な話。」



「な、んで…?」



黙ってろと言われたが、私は言葉を発してしまう。



「喋ったね。悪い子には、お仕置きしなきゃね。」



最初から狙っていのだろうか、木酪泰則は満足そうに目を細めると、結局私の唇を自分の唇で塞ぎにかかる。



熱くて、黒い。煙草の味がするキスだけど、認めたくないくらい、甘い。



「…あんたは堕ちるんだよ、俺と。」



離れた唇が耳元で囁く。その低い声が、私の全身を震わせた。
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