【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
私はこいつとのキスが嫌いだ。



こいつの濁った漆黒の瞳も、温もりも、全部全部嫌いだ。



だけど、苦いのに、何故か甘ったるい、カラメルみたいなヤスのキスに酔いしれてしまう。



「…詳細は、またその時が来たら連絡する。頼むよ、アスカ。」



この妖艶な囁きも、自信に満ちた顔も、大嫌いなのに………!



こいつが、こいつに抵抗出来ない私が



「ムカつく。」



言葉に出てしまうくらい、そう思った。



ヤスは、私のその言葉に、ただ満足そうに口角を上げていた。
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