【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
ヤスと私の席はかなり離れているのに、私の言葉が聞こえていたのはあいつが地獄耳だからだろう。



だけど、いつの間にかアドレスを知られていたのは腑に落ちない。



『なんでアド知ってるの』と私も色味のないメールを返すと、直ぐさま返事が来る。



『お前ん家のお喋り糞野郎から聞いた』



…兄貴だ。百パーセント、あの糞野郎だ。



ヤスの本性知ってて私のアドレスを教える辺り、楽しんでるな兄貴。



私は三日四日兄貴をシカトしようと心に決めて、携帯をパチンと閉じた。
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