【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「どこの馬の骨とも知らん男よりその子になら飛鳥をあげれるなー!わはは!」



「じ…冗談は顔だけにして!」



陽気な父雅彦の発言にイラッとして私は自分と同じ顔の父に睨みを利かせる。



ハーフっぽい堀の深い顔の父は、若い頃はモテたのだとよく母から聞く。



事実、目元が父譲りの兄貴はモテるし、嘘ではないのだろう。



でもこの顔に似てしまったせいで私は顔をあげて生活もできない。この顔が恨めしいくらいだ。



「お母さん、飛鳥がカリカリしてるぞー?」



「そうねーカルシウムが足りないのかしらね?」



のほほんとした二人の会話にうんざりした私は、皿の残りを掻き込んで席を立った。
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