【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
ガラリと開いたお風呂のドアに、私はびっくりして顔をお湯から出す。



いつもはヤスを警戒して、きっちりと閉める風呂場のドア。



だけど今日は衣装の打ち合わせだかなんだかでいないって知ってて施錠しなかった。



目の前には、ダサ系クラスメイトの着ぐるみを脱いだヤス。



もちろん、彼の美術館の置物みたいな身体を隠すものはない。



「ちょ…!く、来るな!」



私は近くにあった洗面器で自分の身体を出来るだけ隠してヤスを睨む。



「知るか。俺は今風呂に入りたいの。そしたらアスカがいたんだから、俺には関係ないし。」



そんな私にヤスは余裕の笑みを浮かべて身体を洗い始めてしまった。
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