【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
控室のソファーで死ぬように寝て、次に起きたのは冷たい何かが頬に宛がわれた感触から。



「お疲れ。アスカ、自分の映像、モニターで見なくていい?」



その正体はペットボトルのお茶で、それを宛がっていたのはヤス。



もうあの真紅の衣装じゃなくなっていて、真っ黒に空色が折り込まれたロリータに変わったヤスは、ウィッグも銀色のストレートロングに変わっている。



目の色は一緒で、化粧がさっきのよりダークになっている。



「私、どれくらい、寝てた?」



「3時間弱くらい。次のセットチェンジ時間かかってるみたいだし。」



お茶を受け取り尋ねると、ヤスは抑揚のない声で答えた。
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