【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「もう…意味、分かんない。」



唇が離れて、私がそう言うとヤスは満足そうに口角を上げる。



でも、なんだかずっと背中にのしかかっていた緊張が少し、ほんの少しだけ解れた気がした。



「じゃ、俺は映像の確認に行くから、撮影頑張って。」



いつもよりちょっとだけ優しいトーンで言葉を紡いだヤスは、立ち上がり控室を後にした。



そして、入れ替わりに、野々村さんとアシスタント達が私のヘアメイクを直しに控室へ入ってきた。
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