【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
そして、私は黒の盤の撮影へ入る。



黒の盤は、設定が少し違って、モノクロの世界に白い立方体の椅子があるセットに招かれた。



「入って来るところから立ち去るところまでが撮りたいんだ。君はもがき、苦しむ男を演じればいい。」



監督にそう言われ、私は何となく頷いた。



黒の盤は、白の盤よりも重たく、ヘビーな曲の構成に変わっている。



ピアノやバイオリンの儚い音だった曲が、オーケストラバックに、バンドの音に変わり、重たく深く、低い男声が英語の歌詞で同じ曲を歌っている。



同じ歌詞、曲なのに編曲一つで全く変わってしまっている。
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