華と月
「ハヤト!笑ってないで説明しなさい!」とアゲハは、ハヤトに詰め寄るが…

ハヤトは、笑いをこらえ
葵はあたふたしていた。

「あ、あの…違うんです…」
「アオイは黙ってなさい」とアゲハの一言で、葵はしゅんとなる。
リリスも何故か、しゅんとした。

「ははは、落ち着けって
俺が間違えてアオイのベッドに寝たもんだから、アオイがびっくりしただけさ」

アゲハは、葵を見るとコクコクと頷いている。

「な?」

とたんに、アゲハは力が抜けたようにほっとため息をつく。

「それだけならいいけど…」

そう言って、とぼとぼとアゲハは部屋を後にした。
部屋の前にいた野次馬も、波がさーと引くように消えて行った。

しーんと、静まり返った部屋で
「ご、ごめんなさい…」と葵は呟くように謝った。
「いいよ、新鮮で楽しかった
だけど次からは勘弁な」と笑って、葵の頭を撫でた。
< 156 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop