華と月
船へ乗り込んだ一行は、
各自の部屋割で揉めていた。

「…俺は、一人がいい」
「俺は、アオイと♪」
「ダメだ!」
「なんだよ~いいじゃん」

と、さっきからこのやり取りを繰り返していた。

「まだやってますけど」
「ほっときなさい」
とアゲハとレイラは、言い
「ねぇ~まだぁ?どっちでもいいじゃんかぁ」
「さっさと部屋割決めてしまいましょう」と次にヒメカとセレンが言った。

「そうね、じゃぁ私とヒメカとアオイ」
「レイラとセレンね
で、余った二人は一緒の部屋…と」

「いい?じゃぁ行きましょ」
アゲハの言葉に、男性陣を除き皆部屋へ移動した。

………
………

「おい、どうするんだアゲハ」
とハヤトが言うが、返事は返ってくるはずがなく…
テーブルを拭いていた、マスターが
「お連れさんたちなら、もうとっくに部屋へ行きましたよー」と呆れた声で言った。

「あ、そうそうこれあんた方の部屋の鍵
アゲハさんとやらが、気付いたら渡してくれってさ」
そう言うと、マスターはごそごそとポケットから鍵を取り出し、ハヤトに手渡す。

鍵を受け取ったハヤトたちは、鳩が豆くらったような顔してしばらくそこに立っていた。
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