華と月
「上は、どの辺りを歩いているの?」と、葵が聞くと
「図書館」とエミリーは言う。

「え、でもここってただ穴が掘られてるだけで
基礎工事がなってないんじゃ?」

「いい質問。もともとはこの龍谷は龍穴とも呼ばれていて、龍の通る穴として伝説が残る洞窟だった。
今も洞窟だけど、昔は王族が脱出用にも使ってたみたい
でも長年、王族が使用する事はなくなって今は、私たちの住みかになったって訳」

そう話すエミリーに、柊は
「不便があるんじゃないのか?」と聞く。

「この問題が解決すれば、不便はない。
住居としても、問題ないし食料も人間用で豊富。ただ…」

「ただ…?」

「私たちは、手先が器用で何でも作れるけど…それでも限界があるわ」

「小人用の雑貨屋や、工具が欲しいって事かな?」
「そう!私これでも女だもの…流行りの服を着てみたいし後、早く移動する手段が欲しい」とエミリーは、頬を赤らめてポツリと言った。

「わかった、検討する」と、柊はエミリーに言う。
 
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