華と月
「どういう事…?」

「葵の目的は、土でしょ?あげるよ
だけど、ボクの願いを一つだけ聞いて欲しいんだ」
「何かしら?」
「ボクの歯、虫歯になっちゃったの
だから痛くて…」

「それなら、治癒力で…」
「治癒力は嫌だ!」
「あ、じゃあ少し痛むけど一瞬で取れる方法があるわ。それでいい?」
「うん!」

そういうと、葵はノームの口の中を見る。

「口を開けて?あーんして?」

「あーん」

「あった、ここね
ちょっと痛いわよ、そのまま待ってて」と葵は、ポケットからソーイングセットを出した。

いつもの習慣で制服の中に入れていた物、こんなところで、役に立つなんて…と苦笑いしながら
ノームの虫歯に、凧糸を巻き付けていく。

後ろで、様子を見てたアゲハたちに葵は声をかける。

「あ、すみません
アゲハさんと柊さん手伝ってください」と言い
指示を出す。

「アゲハさんは、ノームを後ろから抱きしめる形で、こう足と手を抑えてください」
「それから、柊さんは私と一緒にこの糸を力強く引っ張って」と言った。
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