華と月
葵は、起き上がると枕の側にあったティッシュで鼻水を吹く。

泣いていても仕方ないよね…
早くこんなところから帰りたい…


でもここが何処かわからない
まだどうするべきなのかわからない
帰る方法もわからない

どうすれば帰れるのかな?

葵が考え事していると、ノックが聞こえた。

コンコン

「はい」

外の灯りがもれて、部屋の中を照らす。

「あ、もう起きた?大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「そう、なら良かった」

アゲハはニッコリ笑うと、葵の元に行く。

アゲハは、電気を付けた。

急に明るくなったせいで、目がパチパチする。
いつの間にか電気は消されていた事に気づく。
「あら、洋服着替えてないのね」
「私の世界の大事なものなんです…
今となっては、帰れる手がかりを失いたくないです」

「だからこそ、着替えて?」
「どうしてですか?」
「貴女が異質な者と解れば、大変な目に合う。
それに、蝶の家紋の入ってるのを着てれば身体を護れるわ」
「どういう事ですか?」
「ん~着てみれば解るわ」
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