華と月
街に入った葵。

葵は街の雰囲気に、圧倒されていた。

「おい、あれ…」
「ああ…」

葵は、右を見たり左を見たりと、落ち着かない様子でキョロキョロしていた。

映画のセットの中のような、少し不思議な感じだ。

すると、誰かが葵に笑顔で会釈をした。

葵は、当たり前のように相手に頭を下げようとした途端ー

「待った!」

「えっ…?」

葵の前から青年がやってきて、話かけてきた。

「あの…」
葵が困っていると
青年は、葵に耳打ちした。

「頭を下げるな、アンタ蝶の者だろう?」

そう言われ葵は、さっと身を引いた。

「ーー警戒しなくていい
俺はアゲハの知り合いだ」

そう言い、青年は葵にウィンクした。

警戒するな、と言われても葵はつい先ほど逃げてきたばかりなのだ。
葵は、身構えていた。

「まあ、いきなり警戒するなと言われても無理だよな
その様子じゃ、新人だろ?
アゲハもレイラも説明しなかったか?
とにかく立ち話もなんだが、そこの食い物屋に行って座ろうぜ」

青年は、クイッと店の方向を指差した

葵は、戸惑いを隠せなかったが情報を得る為
青年に付いていく事にした。


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