華と月
「ふふっ」

「おっ、やっと笑ってくれたね」

ハヤトにそう言われ、葵は今まで自分が気を張ってる事に気が付いた。

「あ…」
「なんだ?」

葵は首をふり、前に向き直った。
葵は、意を決したように
話出した。

「あの、見ず知らずの人だしこんな事言うの信じてもらえないかもしれませんが、聞いてください…」

思わず、ゴクリと唾を飲み込みそうになる。

「私、違う世界から来たんです…
それで、気付いたらアゲハさんのところにいて…」

次第に葵の表情が曇る。

「私…、私…、逃げてきたんです…
私…アゲハさんに…ろくにお礼も言えず…
私がいると迷惑になるから…」

葵はうつむいた。

「そっか…
でもな、アオイ…逃げてしまった事は仕方ないさ
アゲハは、迷惑だなんて言ってたか?
むしろアゲハは、アオイの事護ろうとしたはずさ
早とちりも良くない!
だから、二度とするなよ?」

「…はい、ごめんなさい」

「約束な」

葵の目の前に、ハヤトの手のひらがでてきた。

「はいっ…!」

葵は、顔をあげハヤトの手を握った。
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