爽やか王子と内気少女…その後は?
「よし、帰ろう?」
当番の仕事が終わり、図書室から出る。
夕日が眩しい。
秋が近づいてるものの、
まだ空気は生暖かい。
手で空気を仰ぎながら昇降口へ向かう。
廊下には私と弥生ちゃんの声だけが響いた。
「それだから、あそこのケーキは最高なんだよ~
今度二人で食べに行こうね?」
弥生ちゃんの誘いに、私は「楽しみ!」と同意を込めて答えた。
下駄箱の中から靴を出して履き変える。
「あれ…」
先に靴を履いた弥生ちゃんが声を上げたので、
弥生ちゃんが見た先を私も見る。
昇降口のドアに、背中を預けて座ってる人がいる。
その人は私たちに気付いて立ち上がった。
「…………永井君……」