爽やか王子と内気少女…その後は?
話が終わり、梨華ちゃんと一緒に教室に入った。
「永井、これマジで良いから!」
浜田さんの声が響き、廊下側一番前を見ると、永井君のシャツの裾を引っ張りながら話す浜田さんと、浜田さんを見る永井君。
何だか胸が痛い。二人の距離が妙に近い気がして、気持ちが落ち着かない。
それでも、どうする事も出来ないので席に着く。
「カオリンおはよう!」
後ろから声がしたので振り返れば、後ろの席に座った渡辺君が、こちらを見ていた。
「……カオリンって…私?」
確かに「カオリ」ではあるけど…と思いながらキョロキョロ周りを見るが、
反応をしたのは私だけなので、私の事のようだった。
「だって名前、香でしょ?新垣さんだと他人行儀だし」
渡辺君はニコッと人懐こい笑顔で私に言った。