改訂版・時間よ、止まれ。
華恵が私のペンケースにシャーペンと消しゴムを入れてチャックを閉じるのを見て、私はやっと片付けを手伝ってもらってることに気付き、慌ててカバンを取り出した。
「さおりが新井いないだけでこんなにしょげてるなんて…、何か付き合う前からすると意外かも」
「…え?」
「付き合う前だったら、『新井いなくて平和だわ〜』とか言ってそうだし」
「…確かにそうかもしれない……」
あの頃の私、自分の気持ちを素直に表すこと、できなかったもんな。
そう考えると、ちょっとは私、進歩してるのかな?
でも……、優祐がいないくらいで勉強に身が入らないなんて、受験生としてはまだまだだな。
これじゃあ、優祐と同じ高校なんて、夢のまた夢かも。
私は深いため息をついた。
すると、携帯のバイブらしき、『ブー、ブー』という音が聞こえてきた。